労災(労働災害)・労働審判制度


労災(労働災害)

労災には、大きく分けて、(1)本来の業務上の災害(業務災害)と、(2)通勤途上の災害(通勤災害)の二つがあります。

これらは、業務上の事由や通勤による労働者の負傷、疾病、障害または死亡につき、被災者やその遺族に対して所定の保険給付を行うものです。労災給付を受けるには、被災した労働者あるいはその遺族から、その労働者が働いていた事業所を管轄する労働基準監督署長に対し、所定の請求書を提出することが必要です。事業主は、この請求手続に協力する義務があるが、請求するのは被災者自身なので、会社に任せておれば安心なわけではないことに注意しなければなりません。もし、勤務先の業務に関連した災害の被害を受けたにもかかわらず、それに対応した給付を何も受けていない場合には、ご相談ください。

なお、労災給付の請求には時間的な制約(時効)があります。療養補償、休業補償、葬祭料は2年以上たつと、それ以前の分は請求できなくなります。障害補償、遺族補償は5年以内にしないと、もはや請求できなくなります。ですので、お早めの相談をお勧めいたします。

労働審判制度

平成18年4月から、労働審判制度が開始されました。
労働審判制においては、裁判官に加えて、労使双方から1名ずつの審判員、計3名が参加して紛争の解決にあたります。

労働審判制は企業と労働者間の紛争の迅速な解決を目指した制度です。原則として、申立がなされた後、3回以内の期日で決定がなされます(調停による解決がなされる場合もあります。)決定に対しては2週間以内に異議を出すことができますが、異議が出されれば通常の訴訟手続に移ります。双方から異議が出されなければ、決定は、裁判所での和解と同一の効力を有することになります。

労働審判制度は、簡易迅速な労働紛争の解決手段として急速に普及しており、訴訟のような煩雑な手続によらずに紛争を解決することができます。労働審判制度の利用にあたっては、原則3回以内で手続が終了することから、事前に十分な準備をすることが必要です。そのため、弁護士に相談した上で進めていくことが望ましいといえます。